補修の基本は原因の特定とその除去にあります。多くの場合、気泡の発生原因は施工時の乾燥不足、湿度の高い環境、塗料の希釈ミスなどに由来します。再発防止のためには、まず塗装面の下地調査を徹底し、水分計などを用いて外壁内の含水率を測定することが不可欠です。下地の含水率が高い状態で補修を行うと、気泡が再度浮き出てくる可能性が高くなります。
補修作業に入る際、まずは既に膨らんだ気泡や剥離した塗膜を完全に除去します。この際、サンドペーパーや電動サンダーを使って下地を平滑に削る工程が必要になりますが、削りすぎて下地材を傷めてしまうと、逆に密着性が落ちてしまいます。仕上がりの美しさだけでなく、耐久性や防水性能にも関わるため、下地調整には高度な判断が求められます。
次に重要となるのが、補修時の気温と湿度の管理です。塗装に最適な外気温は10度から30度、湿度は85%未満が理想とされており、風が強すぎる日も避けるべきです。これらの条件を無視して作業を進めると、再び塗膜内部に空気が閉じ込められ、施工後数日から数週間で気泡が浮かび上がることになります。屋外作業は天候に大きく左右されるため、天気予報や現場の環境を確認した上で日程を調整することが大切です。
補修に使う道具の選び方も重要です。ローラーを使用する場合、スポンジ素材の選定やローラーの回転スピード、塗料の含ませ方によって、空気を巻き込みやすくなります。気泡が出ないよう工夫された低泡タイプのローラーや、プロ向けのスプレーガンの使用を検討するのも一つの手段です。プロの職人は、道具ごとの特性を把握したうえで、状況に応じた塗装方法を選んでいます。
補修作業で見落とされがちな点として、周囲の塗膜への影響があります。部分補修を行う際に、既存の塗膜との色差が出ることがあります。また、補修箇所だけが時間とともに変色してしまい、最終的に再塗装が必要になるケースもあります。このため、補修を行う際には、周囲とのなじみを考慮し、広めに塗り直すことや、調色塗料の使用を検討することが推奨されます。
以下に、補修時に注意すべき主な工程管理と対策項目を整理した表を示します。
| 補修工程
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注意点
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再発防止のための対策例
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| 下地調査と乾燥確認
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水分残留による再発リスクが高い
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含水率測定器でのチェック、日照後の施工
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| 剥離塗膜の除去
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削りすぎによる下地劣化の危険
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均一にサンディングし、表面を平滑に保つ
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| 塗料の撹拌と希釈
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希釈ミスや空気混入による内部気泡
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規定比率の厳守と十分な撹拌、作業途中の再撹拌
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| 天候と気温・湿度の管理
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硬化不足による気泡や塗膜劣化
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湿度85%未満、気温10〜30度を目安に作業
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| 使用道具と塗装手法の選定
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ローラー・スプレーの選び方で泡の混入率が変動
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低泡設計の道具使用、経験者による施工
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| 仕上がりと周辺塗膜の調和
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色差や浮きが出て全体の見た目が崩れるリスク
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調色塗料の使用や広範囲の塗り直しによる馴染ませ対応
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